中学校3年生に薦めたい本100冊vol.7 10月

ちょっと違った世界を知る その2

読書の楽しみの一つは、
日常とは「ちょっと違った世界」に
行くことができること。
もちろん大人の世界にだって
行くことができます。
大人たちの「ちょっと違った世界」を
のぞいてみる8冊です。

その1
「GO」(金城一紀)

在日朝鮮人・杉原は
民族学校卒業後、
日本の普通高校へ進んだ高校生。
父親から仕込まれた
ボクシングのおかげで
喧嘩に強く、
23戦無敗。
ある日、ヤクザの息子・加藤の
主宰するパーティで
不思議な魅力を放つ
女の子・桜井と出会う…。

その2
「海峡の光」(辻仁成)

看守の「私」のもとへ現れた
囚人・花井。
彼は小学校時代、
優等生の仮面の下で、残酷に
私を苦しめ続けた男だった。
苛められる側と苛める側だった
「私」と花井は、
監視する側とされる側となって
船舶訓練の実習船に乗り込む…。

その3
「くっすん大黒」(町田康)

ふと働くのがいやになり、
仕事を辞めて
毎日酒を飲んで暮らして三年、
妻が家を出て行った。
先程から気になるのは、
雑多な部屋の中に紛れて
転がっている金属製の大黒様。
一大決心した「自分」は、
大黒を不法投棄しにかかるが…。

その4
「ウェルカム・ホーム!」(鷺沢萠)

「ぼくの家には、
お父さんがふたりいる」。
そう書きだした
小学校6年生の憲弘の
作文を見て、毅は絶句する。
確かにわが家は
憲弘と父親の英弘、
そして自分の三人家族だ。
でも、 これでは周囲の人間に
誤解されるのではないか…。
(「渡辺毅のウェルカム・ホーム」)

その5
「沖で待つ」(絲山秋子)

仕事のことだったら、
そいつのために
何だってしてやる。
そう思っていた
同期の太っちゃんが死んだ。
太っちゃんとの
「約束」を果たすため、
「私」は彼の部屋に忍び込む。
その「約束」とは、
彼のパソコンのHDDを
完璧に破壊すること…。

その6
「学問」(山田詠美)

東京から引っ越してきた仁美、
カリスマ的リーダーで
人気者の心太、
医者の息子でグルメの無量、
眠ることが大好きな千穂、
4人は特別な絆で結ばれていた。
仁美は心太に付いて行く
決心をする。
テンちゃんなんか、
死んじゃえ…。

その7
「しあわせのパン」(三島有紀子)

若い「夫婦」が営むパンカフェ。
実らぬ恋に未練する女性、
家出した母への思慕から
父を避ける少女、
生きる希望を失った老夫婦が
次々と店を訪れる。
彼らを優しく迎えるのは、
二人が心を込めたパンと手料理、
そして一杯の珈琲…。

その8
「ポトスライムの船」(津村記久子)

工場勤務の契約社員ナガゼは、
世界一周クルージングの
ポスターに目をとめる。
旅行費用163万円は、
彼女の一年間の収入と同じ。
一年分の働きを
世界一周に換算できることに
思い至ったナガセの
労働に対する意識は
変化していく…。

大人の世界を読書の世界で
ちょっとだけのぞき見してみる。
これも大切なことです。
大人のあなたにもお薦めの8冊です。

(2020.8.31)

NouploadによるPixabayからの画像

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